朝に筋トレをすることによるデメリットについて考える

数年前から若いビジネスマンを中心に朝活が注目を集めるようになった。朝活では、資格取得のための勉強や読書、筋トレやランニングなど様々なことに時間を使う方がいる。朝起きてすぐは頭が冴えており、集中力を高く維持できることから勉強には効果的だと認められている。では、朝起きて間もない時間に筋トレを行うことは効果的なのだろうか。この記事では、朝に筋トレを行うメリットだけでなく、デメリットとその対策について知ることができる。


朝に筋トレをする4つのデメリット

1.心筋梗塞や狭心症、脳卒中を発症するリスクがある

リスク

起床すると、就寝中の副交感神経優位の状態から覚醒して交感神経優位な状態になる。朝は自律神経が大きく切り替わる時間帯ということである。起床すると急激に交感神経の緊張が高まるため、血圧は上昇し、心拍数は増加する。血管内では血液が固まりやすくなるため、心筋梗塞や狭心症、脳卒中を発症するリスクが高くなる。ただでさえ、早朝は交感神経が緊張状態であるにも関わらず、さらに運動で交感神経の緊張を高めてしまうと病気の発症リスクは当然高まる。特に筋トレは、血圧の上昇や心拍数の増加をまねくため、そのほかの運動と比較してもリスクは高い。また、前日の夜にアルコールをとっている場合、アルコールが分解されておらず体内に残ってしまっていることも考えられる。そのような状態で筋トレをしてしまうと、心拍数が普段以上に増加し、心臓に負担をかける恐れがある。アルコールは脱水状態を引き起こしやすいが、それに加えて就寝中には500mlから1000mlもの汗をかくと言われる。起床して水分摂取をしないで筋トレを行えば、脱水状態におちいるリスクも考えられる。

対策方法

朝に筋トレなどの運動をする場合は、運動前に血圧・脈拍測定を行い、健康状態を把握する。リハビリテーションなどの現場で参考にされている、アンダーソン・土肥の基準というものがある。運動を行わないほうが良い状態として以下の数値が示されている。
・安静時脈拍数120拍/分以上
・拡張期血圧(下の血圧)120mmHg以上
・収縮期血圧(上の血圧)200mmHg以上
・運動前すでに動悸、息切れのある状態
以上の基準値を参考までに知っておくことも必要である。若いからといって心筋梗塞や脳卒中が発症しないとは言えない。近年では、若年性心筋梗塞も注目されており、注意することが必要である。また、朝は血液が固まりやすい状態であることや就寝中にも発汗することから、十分な水分補給を心がけることも重要である。運動中だけでなく、運動前にも適度に水分補給をしておく。

2.ケガのリスクが高くなる

リスク

人間の体温は、朝が最も低く、夕方に向けてゆっくりと上昇していく傾向がある。朝の体温は低いため、筋肉の温度も低い状態である。そのような状態で運動すると身体の動きが悪いため、ケガのリスクは高くなる。起床からの時間が短ければ短いほど、身体は動きにくい状態は顕著となり、ケガをするリスクは高いと言える。また、起床して間もない時間に筋トレを行うと、眠気などで集中力の低下をまねきケガをする恐れもある。筋トレでのケガは、重症となる恐れもあるために十分に注意が必要である。筋トレで大きな事故につながった例もあるため、しっかりと頭に入れておく。

対策方法

ケガを予防するためには、他の時間帯に筋トレを行う以上にウォーミングアップが重要となる。まずは、ウォーキングやジョギングなどでゆっくりと身体を動かし始める。血液循環を良くし、筋肉の温度を高めていくことを意識しながら身体を動かしていくと良い。筋肉の温度を高めることで柔軟性を獲得できる。筋肉の温度が上がり、少し汗をかくくらいに身体を動かした後に、各種体操をゆっくりと大きな動きを意識しながら行う。また、ストレッチを行うとより柔軟性を獲得できる。ここで注意したいのは、静的なストレッチは運動前に行うと運動のパフォーマンスが落ちることが確認されていることである。そのため、ストレッチを行う場合は、動的なストレッチを行うようにする。動的なストレッチとは、サッカーのブラジル体操が代表的である。ゆっくりと大きな動きで筋肉の伸びを感じながら行う。その際は、筋肉を伸ばした状態で止めないように注意する。ラジオ体操をゆっくり大きな動きで行っても良い。

3.エネルギーの枯渇から筋力低下を引き起こすリスクがある

リスク

運動を行う際の主なエネルギー源は、糖質と脂質である。
動き始めからのエネルギー源は、血液中にある糖質と筋肉中にあるグリコーゲンとなる。運動を続けていくと、中性脂肪が酸素により燃焼されてエネルギー源に変換されていく。これらのエネルギー源が不足すると、体内のアミノ酸を栄養として使おうとする。アミノ酸濃度は常に一定に保とうとされるため、体内にあるアミノ酸が使用されると、足りない分は筋肉を分解することによってアミノ酸濃度を一定に保とうとする。筋肉の分解が起こるため、筋力低下を引き起こしてしまう。筋力向上のために行うべき筋トレが逆効果となってしまう恐れがある。

対策方法

起床時は、夕食をとってからかなりの時間が経過しており、エネルギーは不足した状態である。そのため、朝食をとらずに筋トレを始めるのは避けなければならない。朝食は、少なくとも運動前の30~60分前までにとる。通常は、消化するために必要な時間は2時間程度であるため、運動を行う際の朝食は軽めにとどめておく。筋トレを行う際に必要な主なエネルギー源は糖質であるため、炭水化物などの糖質をとると良い。筋トレ後にも分けて朝食をとるなどの工夫も必要である。ここでは、炭水化物などの糖質だけでなく、筋肉を作るために重要なたんぱく質も加えてとっておくと良い。また、筋トレの効果を考慮して、プロテインなどのサプリメントを併用することも検討する。

4.疲れてしまい仕事に支障をきたすリスクがある

朝から筋トレを行うことで、当然のことながら身体は疲労してしまう。激しい筋トレを行えば行うほど、疲労は後の時間に影響を及ぼす。その結果、身体の疲労感・倦怠感・眠気の誘発をまねくことになる。また、身体的な疲労だけでなく、精神的な疲労もあり、集中力の低下などをまねく場合も考えられる。生活する上では最も重要なことである仕事に支障をきたす恐れがある。

リスク

対策方法

朝に筋トレを行う場合は、あまり身体を追い込みすぎないようにすることを意識するほうが良い。
夕方や夜に筋トレを行う場合よりも軽めに運動量を設定すると良い。運動後には、十分にクールダウンを行う。この場合は、静的なストレッチや各種体操を行い、ゆっくりと筋肉の温度を下げていくことを意識する。また、シャワーを浴びてリラックスすることも良い。その際、温水と冷水を交互にかける交代浴を行うと疲労回復を促すことができる。

朝に筋トレをすることでのメリットはもちろんある

代謝しやすい状態になる

朝に筋トレを行うことにより、身体は代謝をしやすい状態となる。そのため、脂肪の燃焼効率も高まり、1日のエネルギー消費量は増加していく。筋トレ後に出勤し、歩く距離を増やす工夫をすれば、有酸素運動となりダイエットも効率的に行うことができる。

筋トレ自体の効果が高い

筋肉増強や骨格の発達に関わるホルモンであるテストステロンの分泌が活発なのは朝である。そのため、朝の筋トレは効果をより引き出すことができる。

身体がすっきり目覚めて仕事の集中力が高まる

朝に身体を動かすことにより、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンの三大神経伝達物質である脳内ホルモンが活発に分泌される。その結果、身体がすっきりと目覚め、精神の安定や集中力の向上に結びつく。集中力が高まることなどで仕事の効率も高まりやすい。

運動習慣が身につきやすい

夕方や夜に運動を行う場合は、仕事などの予定によりできないこともある。しかし、朝に筋トレを行えば、寝坊しない限りは予定通りに運動ができる。そのため、運動を習慣化しやすい。運動を習慣化すれば、身体的・精神的健康を維持することができる。生活習慣病などの病気の予防だけでなく、社会問題ともなっている精神疾患の予防にもつながる。
朝に筋トレを行うことで、心筋梗塞や狭心症、脳卒中を発症する、ケガをする、エネルギーの枯渇から筋力低下を引き起こす、疲れてしまい仕事に支障をきたすなどのリスクがあることがわかった。しかし、朝に筋トレをするのはデメリットばかりではなく、もちろん多くのメリットもある。メリットにばかりを目を向けず、デメリットとして考えられるリスクへの対策も十分にしておきながら、朝に筋トレを行う習慣ができれば素晴らしいことである。朝に筋トレを習慣化して、メリハリのある充実した健康的な生活を送ってみてはいかがだろうか。

参考: 「仕事のデキる人はやっている「朝活」のススメ」
https://saluce.jp/articles/74

まとめ