筋トレ後のサウナの効果とは何でしょうか。そして筋トレ後のサウナが筋肉に与える影響とはどんなことでしょうか。近年、人気が高まっているサウナ、筋トレとの相性は良いのでしょうか?
筋トレ後のサウナに関しては、効果的という主張と、筋トレとサウナの相性は良くないという真逆の説が入り乱れています。今回は、そんな筋トレとサウナについて解説していきます。
まずは筋トレをした後にサウナに入るのは良いことなのかという問題があります。肯定派も否定派も存在している理由としては、「筋トレと入浴」や、「筋トレと筋肉を温めること」に関して研究されているものの、「筋トレとサウナ」の方は直接研究された事例がないことが挙げられます。あくまでも研究分野から導き出される現状の結論として、ということになりますが、ここからは筋トレとサウナについて紹介していきます。
筋トレ後のサウナはNG?
筋トレ後のサウナは筋肉に悪影響という根拠は大きく三つの原因があります。
①筋肉の炎症を引き起こす
筋トレをすると一時的に筋肉の繊維を破壊し、炎症を起こした状態になります。 野球で投球後のピッチャーが肩を冷やしているように、アスリートはよくこの時アイシング(冷却)を行っていますが、逆に筋トレ後に筋肉を温めることは、この炎症を促進してしまう可能性があります。 筋肉は炎症が引いたのちに修復するため、サウナによる疲労回復効果は期待できず、筋肉の修復を妨げる結果になってしまいます。
②脱水症状のリスク
サウナにおいては大量に汗をかくことから脱水症状の危険を伴います。特に筋トレのような運動後は体内の水分量が減っている状態のため、脱水症状を引き起こしやすい状況にあります。 脱水症状は、筋肉に限らず身体にダメージを与えるため危険です。 筋肉への影響だけをみても、水分が少なくドロドロとした血液の状態では、運動後に分泌される疲労物質である乳酸や、筋肉に必要な栄養を運ぶことが妨げられるため、非常に悪影響があることがわかります。
③起立性低血圧のリスク
サウナを長時間続けると起立性低血圧による、めまいやバランスの喪失、場合によっては失神といった危険があります。これらの点には注意しなければなれません。
筋肉にとって良い効果も期待できるサウナ
とはいえ、筋トレ後にサウナに入ることはメリットも期待できることが明らかになっています。
①筋肉疲労や筋肉痛の解消にも効果的
筋肉が疲労しているときの疲労物質を処理する能力は筋肉にはありません。疲労物質が血流により肝臓に運ばれて、分解・再利用されることで処理されることで、疲労の原因となっている疲労物質が処理されます。血流が促進されることにより疲労物質の処理能力の向上が期待され、筋肉痛の解消にも効果的に働きます。さらに廃物の除去が進むとともに筋肉に栄養も回りやすくなり、代謝も活性化します。筋トレ後は疲労物質が体内にたまり、そのままでは回復が遅れ、身体にだるさも感じる原因となりますので、それらの解消にもサウナは効果的です。
②時間が経てば回復を促す
筋トレ直後の炎症が激しい状態で血流がよくなると炎症が悪化してしまうのは、前項の通りですが、半日〜1日程度経過して炎症がある程度引いてからは、血流が良くなることで、筋肉の回復が促進されることがわかっています。
③持久力の向上
2007年の研究によると、運動後にサウナに入ることで、血流をあげ、全身の持久力を向上させることがわかっています。 この実験は筋トレではなくランニングを元に行われているものの、同様の効果が期待できるとされています。
そもそもサウナとは?
スーパー銭湯などの温泉施設はもちろん、最近ではジムにも併設されていることも多くなってきました。 サウナポータルサイト「サウナイキタイ」では日本全国のサウナが見つけることができます。
サウナポータルサイト|サウナイキタイ(
https://sauna-ikitai.com/)
サウナと筋トレについて解説する前に、改めてサウナとはどういうものなのか、という点を明らかにしていきます。 サウナというと、一般的には温度の高い部屋で、大量の汗を我慢してかく、というイメージが強いのではないでしょうか。 これは半分正しいとも言えますが、実はサウナの効果を得るためにはこれだけでは不十分です。 サウナの効果を十分に得るためには、サウナ後は水風呂に入ることが肝要です。 これは「温冷交代浴」といって、サウナによって血管が拡張した状態を作り出し、その後に水風呂に入ることで血管を収縮させ、自律神経を刺激するという、逆の刺激を身体に交互に与えるという入浴方法です。 温冷交代浴を何回か繰り返すことで、血行改善や、自律神経を整えることにつながります。 以上のことから、サウナでは以下の効果が期待できると言われています。
①疲労回復効果
血行が改善し、酸素や栄養が全身に行き渡ることで、疲れが回復しやすくなります。血流の改善は、肩こりや腰痛、冷え性の解消にも効果があります。 また、リンパの流れも良くなり、むくみを解消することが期待できます。
②代謝の改善
代謝といっても、古い細胞が入れ替わっていく新陳代謝と、人間が生きていく上で最低限消費するエネルギーである基礎代謝がありますが、サウナはこのどちらにも効果があるとされています。 ①とも関係しますが、血流の改善により酸素や栄養が全身に行き渡ることで、細胞の交換、すなわち新陳代謝が促進されます。 また、サウナは褐色脂肪細胞という脂肪を燃焼させる細胞の働きを活性化させることでも知られており、これにより基礎代謝も向上することがわかっています。
③リラックス効果
精神的にも落ち着けるのがサウナの特徴でもあります。 サウナはスマホをはじめとした電子機器がなく、自身の身体に目を向け、考え事をするのには最適な環境です。 また、身体的にも血行が促進されることでディープリラックスという深いリラックス状態に身体がおかれ、いつもよりも深い眠りにつくことができるようになります。
④免疫力の向上
サウナの熱はタンパク質を損傷させますが、同時にヒートショックプロテイン(HSP)という別のタンパク質が生まれることがわかっています。HSPには損傷したタンパク質の損傷を修復する性質があるため、再生し活性化した細胞が免疫力を高めます。 また、温冷交代浴により抗ストレスのホルモンが分泌されることでも同様に免疫力が向上します。
⑤肌質の改善
サウナは美肌効果があります。 ②の効果で肌のターンオーバーが促進され、メラニンが排出しやすくなります。また、温冷の刺激で自律神経が整い、ストレスから解放された状態は、ニキビや肌荒れも改善してくれます。さらに大量の汗をかくことで、老廃物が排出でき毛穴の通りも良くなります。これによりくすみが取り除かれ、サウナ後は肌が白くなったと実感する方も多いようです。 以上のことから、サウナとは、ただ熱い環境に身を置くだけではなく、 サウナ + 水風呂(加えてその後の休憩)をセットで行うことで、身体的、精神的に様々な効果を得ることができる活動ということが言えます。 このようなサウナの効果を見ていくと、純粋に汗をかくということに加え、 代謝の改善など、筋トレで期待できる効果と重なる点もサウナにはあるということがわかります。 健康的で、精神的にも安定した状態をもとめる現代にビジネスパーソンにとっては、サウナによって心身を整えるというのも、筋トレ同様に魅力的な活動メニューのひとつです。
まとめ
メリット・デメリットが存在する筋トレ後のサウナですが、体の状態に合わせたサウナの入り方をすることで、デメリットを避け、メリットを享受することができることがわかりました。 筋トレ後のサウナの利用について注意するポイントをまとめていきます。
①高負荷トレーニング後→サウナは避けるのが無難
これは、NGの理由として紹介した炎症が関係しま50~す。 基本的に、器具等を使った高負荷のトレーニング後は、筋肉の炎症が発生しますが、自重のみのトレーニングなどの場合には、アイシング等が必要になるほど炎症を起こすことは少ないため、脱水症状に気をつけて、水分補給をするなどの対策を行えば、基本的にはサウナに入って良いと言えます。 高負荷のトレーニング後は、シャワーで済まし、サウナに長い間いることは避けたほうが無難でしょう。
② 筋トレ直後は避け、半日〜1日後を目安にする
高負荷トレーニング直後は、サウナは避けるべきだが、逆に筋トレから半日程度経てばサウナによって血流が良くなることは前述した通りです。 高負荷トレーニング後は翌日に入ることで、筋肉の回復を促進することが期待できるでしょう。
筋トレとサウナについて解説してきましたが、まだ研究が道半ばであるため、今後新しい説がでてくることは十分に考えられます。 現状ではトレーニングの内容や、サウナのタイミングなどに注意することで、より効果的に効率的にメリットを享受することができます。 筋トレもサウナも正しく利用することで心身にとって良い影響を与えることは間違いありません。筋トレ後のサウナを利用する際は、ぜひ注意してみてください。