筋トレ後に起こる超回復を理解して最大限に効果を発揮する
筋肉をつけたい、身体を引き締めたい、ダイエットをしたい、そういった思いから筋トレを始める方は多いだろう。しかし、筋肉をつけたいからといって、筋トレを毎日やればいいわけではない。トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、身体を休めること、回復をはかることが重要になる。今回は、筋トレの効果を最大限に引き出すために必要な、疲労回復をはかるには何に気をつけたらよいのかを紹介する。
疲労回復のためには、どのくらい、どのような休養時間が必要なのか
筋トレ効果を最大限に引き出すためには、身体を休めること、疲労回復をはかることが必要となる。ケガや病気の予防という観点からも疲労の過度な蓄積は避けるべきである。まずは、疲労回復について理解するために知っておきたい基礎知識、どのくらいの休養時間が必要なのかなどについて確認していく。
疲労回復とは
疲労には、身体的なものと精神的なものがあり、独特の不快感がある。筋トレを行うことで身体的な疲労はもちろん、精神的な疲労も蓄積していく。身体的疲労はケガなどにつながり、精神的疲労は日常生活に影響を及ぼす恐れがある。疲労は、痛みや発熱などと同様に、これ以上頑張ると壊れてしまうという、身体が発する危険信号と受け取ることもできる。そのため、身体的・精神的疲労の両者について、より早く回復させることを十分に考慮していく必要がある。
超回復とは
筋トレを行うことによって、筋肉の中にある筋線維の一部が破壊される。筋線維は、24~48時間の休養時間によって修復され、元の状態よりも太くなる。この過程を超回復と呼ぶ。休養時間は、48~72時間と言われる場合もあり、これはトレーニングの負荷やトレーニング歴など様々な状況によって疲労度合いも違うため、個人差がある。筋トレ経験を積むことによって、自分自身の疲労度合いなどを感じながら調整していくとよい。休養時間を取らなかったり、短い休養時間で筋トレを行ったりしてしまうと、筋肉が回復する前に再び筋線維を破壊してしまうために筋力の向上が得られない。疲労の蓄積を招き、パフォーマンスの向上を得ることもできない。その結果、逆に筋力低下を招く恐れもある。また、休養時間が長くなりすぎると筋肉は衰えてしまう。筋トレの効果を最大限に引き出すためには、超回復を繰り返すことが重要となる。
疲労回復を促すための休養の取り方には2種類の方法がある。一つは、何もしないで完全に休むことである。
完全休養か積極的休養を取る
1.完全休養
・ゴロゴロと何もせず過ごす
・整体やマッサージなどのケアに行く
・ゆっくり入浴する
・良質な睡眠を取るなど
しかし、ただゴロゴロ何もせず過ごすとかえって疲労を感じてしまう経験がある方もいるのではないだろうか。完全休養とは逆の考え方で、何もしないでゆっくりするのではなく、リラックスしたり趣味やスポーツをして過ごすことを積極的休養という。
2.積極的休養
・ウォーキングなど負荷の軽い有酸素運動を行う
・ストレッチや体操を行う
・趣味活動を行う
軽く身体を動かすことによって、筋肉への血液循環を促すことにつながり、疲労回復をはかることができる。また、趣味に時間を費やすことによって精神的疲労の回復への働きかけも期待できる。身体的な疲労や精神的な疲労、体調を見極めながら、どちらの休養を取るのか選択することが重要である。
疲労回復をはかるために必要な食事
筋トレによって疲労した身体を回復させるためには、休養時間だけでなく栄養状態、食事にも気をつける必要がある。どのようなことに気をつければよいのだろうか。
たんぱく質を多く摂取する
身体が低栄養状態となると、基礎代謝量が低下する。たんぱく質を多く摂取すると基礎代謝量は向上する。基礎代謝量が向上するということは、血液循環が促進されている状態であり、疲労回復や疲労を感じにくい身体を得ることができる。たんぱく質は、筋肉をはじめ血液や骨などの身体を構成するために重要な栄養素の一つである。体重1kgあたり2g程度のたんぱく質が必要で、摂取するタイミングは筋トレ直後の30分がゴールデンタイムである。筋トレ直後の食事が難しい場合などは、プロテインなどのサプリメントを利用するとよい。
動物性たんぱく質
肉類・魚類・卵などの動物性たんぱく質には、9種類の必須アミノ酸が含まれている。たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合して作られたものである。その中でも9種類のアミノ酸が不足してしまうと、身体の成長を損なう危険性があるため、必須アミノ酸と呼ばれる。必須アミノ酸の中で、バリン、ロイシン、イソロイシンはBCAAと総称され、運動時の筋肉でエネルギー源になる。最近の研究では、その中でもロイシンが筋肉の合成に重要な役割を果たしていることがわかっている。
植物性たんぱく質
大豆製品などの植物性たんぱく質は、油脂をほとんど含んでいないため、ダイエット時には低脂肪・低カロリーを考えると理想的である。しかし、植物性たんぱく質に摂取が偏ってしまうと必須アミノ酸が不足してしまう。そのため、動物性・植物性どちらかに偏るのではなく、両者をバランスよく摂取することが重要である。
食事だけでは不十分ならばサプリメントを利用する
一人暮らしの男性や仕事で忙しい働き盛りの世代の方々にとって、規則正しくバランスのとれた食生活を送ることは難しいかもしれない。そんな場合には、サプリメントを利用して栄養バランスを整えることも必要である。栄養を考える上では、食事から摂取することが基本とし、サプリメントは補助的手段としてとらえておく。
プロテイン
プロテインは、たんぱく質を集めたサプリメントのこと。パウダー状のものが主流であったが、最近は、コンビニなどでもゼリー状やドリンクとなって手軽に手に入れることができるようになった。プロテインはたんぱく質を集めたものであるため、当然、動物性・植物性に分けられる。動物性たんぱく質は牛乳が原料となっており、ホエイプロテイン、カゼインプロテインと呼ばれている。植物性たんぱく質は大豆が原料で大豆プロテインと呼ばれる。プロテインを摂取する場合は、筋力向上や筋肥大を目指すのであれば動物性たんぱく質を、ダイエットを目指すのであれば植物性たんぱく質を、目的に合わせて選択することをおすすめする。
アミノ酸
疲労回復にも効果があるとされるアミノ酸。これも、パウダー状のものからタブレット状やゼリー状、ドリンクなどとなり、手軽に手に入れることができる。筋肉の修復を考えるならば、BCAAが多く含まれたものを選択するとよい。
精神的疲労の回復方法
ここまで、主に身体的疲労の回復方法について紹介してきたが、精神的疲労に対しても配慮が必要な場合がある。精神的疲労が蓄積してしまうと、筋トレの継続が難しくなるだけでなく、仕事や家庭など日常生活にも影響を及ぼすこともあり得る。どのような対処が必要だろうか。
・完全休養を取る
・マッサージなど受動的な身体のケアを受ける
・趣味活動を行う
・同僚や友達、家族と外食をする
・音楽鑑賞をする
・瞑想をするなど
様々な方法があるが、重要なことは、自分自身がいかにリフレッシュできるかである。これをしているときにはストレスが全くない、といったことに時間を使うことが望ましい。
疲労回復のためにやってはいけないこと
栄養ドリンクやエナジードリンクを飲む
最近は、コンビニなどで多くの栄養ドリンクやエナジードリンクが販売されている。しかし、これらの飲料の効果に科学的根拠はほとんど実証されていない。配合されたカフェインによる覚醒効果などで一時的に疲労回復を感じることはあっても、根本的には回復しない。
熱いお湯に入浴する
40度以上の熱いお湯で入浴すると、交感神経が優位となり寝つきが悪くなるなどの影響が出る。逆に疲労を感じてしまうこともあるため注意が必要である。入浴する際は、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かることで副交感神経優位となり、疲労回復やリフレッシュにつながる。
消化の悪い食べ物を摂取する
脂身の多い肉や脂ののった魚、揚げ物など消化の悪い食べ物は摂取を避けるべきである。消化をする際に胃腸に負担がかかり、内臓疲労を増大させてしまう。できるだけ、消化の良い食べ物を摂取することが疲労回復にも役立つ。
まとめ
以上のように、筋トレ効果を最大限に引き出すためには、身体的・精神的な疲労回復を促すことが重要である。疲労回復のためには、適度な休養時間とバランスのとれた食事の摂取に気をつける。忙しい毎日の中で筋トレをするのだから、当然、効果を最大限に引き出したい。そのために、この記事を少しでも参考に日常生活を送ってみてはどうだろうか。