【自分で出来る新型コロナウイルス感染予防策 2大ポイント】
今、新型コロナウイルスの強い感染力に世界中の人々は、翻弄されています。
どんどん、感染者や発症者が増えていく不安感は大きく募るばかりで、経済的破綻にも見舞われそうな緊迫感さえ感じています。
そんな中で、自分で出来ることはどんなことがあるでしょうか?
それは、
「新型コロナウイルスについて正しい情報をつかみ、正しく行動する」
「新型コロナウイルスに打ち勝つ腸管免疫力をつける」
です。
これから、この2大ポイントについてわかりやすく解説いたします。
Ⅰ 新型コロナウイルスを正しく知ろう
すでに6種類のコロナウイルスが知られています。今回のコロナウイルスの出現で7種類となりました。
2019年の12月、中国の武漢で新型ウイルス感染初発の報告から今日まで、全世界に感染が広がり、死者も多数出ています。
こうやって書いている間にも、状況は激しく悪いほうに変化しています。
1 新型コロナウイルスの特徴
ウイルスは、遺伝子の核酸(DNAとRNA)の周りにカプシドといわれるタンパク質の殻をもっています。
カプシドは酵素によって核酸が分解されないように、核酸を保護しているのです。
核酸を包み込んだカプシド(ヌクレオカプシド)が細胞から出て、カプシドをすっぽり包み込むように脂性膜のエンベロープを形成します。
1-1 新型コロナウイルスは消毒剤や石けんで死滅しやすい
ウイルスには、エンベロープウイルスとエンベロープのないノンエンベロープウイルスがあります。
新型コロナウイルスはエンベロープウイルスです。ちなみにインフルエンザウイルスもエンベロープウイルスです。
エンベロープウイルスが消毒用アルコール(エタノール)や石けんに触れると、脂性膜であるエンベロープが溶け、アルコールや石けんが中に入りこみます。
そのため、エンベロープ内にあるDNAやRNAが入ったカプシドは傷つき、ウイルスは感染能力を失っていきます。
この新型コロナウイルスの特徴から、国や専門家たちは「新型コロナウイルスから身を守るために消毒用アルコール(※)などで手洗いを」と呼びかけるのです。
(※)消毒用アルコール(エタノール):薬局等で販売されている消毒用アルノールは「70
%」と表示されています。なぜ、「70%」なのか、濃ければ濃いほど殺菌効果は高いのではとつい、考えてしまいます。
実は、アルコールの殺菌効果は40%ぐらいから出始め、70%で最大の殺菌効果を発揮し、それ以上の高濃度になると、再び、殺菌効果が減弱していくことがわかっています。
そのため、70%消毒用アルコールが製品化されているわけです。
ただ、アルコールの殺菌メカニズムは現在でもよくわかっていないといわれています。
1-2 新型コロナウイルスは抗生物質で死滅しない
抗生物質は病原菌を死滅させることができますが、ウイルスを死滅させることはできません。それはウイルスと細菌は全くの別物だからです。
ウイルスには細胞がありませんが、細菌は単細胞生物ともいわれ、細胞をもっています。また、増殖していく仕組みも異なります。
病原菌を殺す抗生物質はたくさんありますが、抗ウイルス薬はまだ、少ししかありません。
ウイルスに感染し、感染症を発症すると、症状によっては抗生物質が処方されることがあります。
それは、その感染症で体が弱って、さらに免疫力が下がり、細菌性肺炎などの併発が予測される場合、あるいは発症し、その治療をする場合に抗生物質が処方されるわけです。
1-3 新型コロナウイルスの新しい治療薬
現在(2020年、3月)のところ、新型コロナウイルスを死滅させるのに有効な薬剤(抗ウイルス剤など)やワクチンはないということになっています。
しかし、医師や研究者の必死の努力もあって、少しずつ日本、諸外国から有効な薬剤発見の報告がされています。
感染者急増ということで治療薬の開発は急務であり、現在、流通している薬剤の中から有効な薬剤を見つけるのが手っ取り早くて望ましいのですが、東京大学医科研究所が既存の薬剤から新型コロナウイルス感染を阻止できる薬剤を同定しました。(2020年、3月)
同定した薬剤:ナファモスタット(急性膵炎治療薬)
新型コロナウイルスの原因ウイルスといわれるSARS-CoV-2が人体に感染するためには、ウイルスの外膜がヒトの細胞膜に融合する必要があります。その融合をナファモスタット(一般名:成分名)といわれる薬物が阻止することを東京大学医科研究所の井上純一郎教授らが突き止めました。近く、あるいはすでに臨床研究や実施に向けて動いていると思われます。
2 新型コロナウイルスの感染経路
現在、下記の感染経路が想定されています。
・飛沫感染:感染者から出た鼻や口からの分泌液などを別の人が鼻や口中に吸いこんで感染します。
・接触感染:感染者が自分の鼻や口から出た分泌液のついた手で触れた箇所を別の人が触れることで感染します。
空気感染は現在、否定されていますが、感染者のいる密室では空気感染のようなこともあり得ると専門家は指摘しています。
3 新型コロナウイルスの潜伏期間と発症時の症状
潜伏期間は5~6日(1~12.5日)。感染者は約2週間の健康チェックが望ましいとされています。
症状は高熱、頭痛、咳などで、新型コロナウイルス感染症特有の症状がなく、インフルエンザや風邪などの感染症とほとんど変わりません。
重症化すると、強い呼吸器症状が伴う肺炎にかかることがあります。とくに、高齢者や病気などで免疫力が低下している人は重症化しやすく、要注意です。
3-1 治療法
現在、根治療法はなく、対症療法が主流です。発熱には解熱剤、咳には鎮咳剤、頭痛には鎮痛剤等を服用します。その他、医師が症状に応じて治療を施します。
新型コロナウイルスの基本情報を入手していくと同時にやるべきことは、自分の免疫力を強くすることです。
現在、根治できる治療薬がないわけですから、新型コロナウイルスと闘えるのは自分の免疫力だけです。
Ⅱ 新型コロナウイルスに打ち勝つ腸管免疫力をつける
免疫力の強い体を作るカギは「腸」が握っています。
1 体にある免疫細胞の約70%が腸内に集まっている
腸は、飲み込んだ食べ物や空気などにまぎれて一緒に病原菌やウイルスが入ってくる場所です。そのため、腸には病原菌やウイルスを撃退してくれる免疫細胞がたくさん存在しています。
パイエル板という部位が小腸の壁に存在し、そこには腸内を浮遊する細菌やウイルス、あるいは胃のほうから流れてきた食物など、つまり体にとっての異物を引き入れる入口があります。
パイエル板の内側には免疫細胞が密集しており、引き入れた異物に接触して攻撃すべき異物の特徴を免疫細胞は覚えていきます。
その後、腸で異物の特徴を覚えた免疫細胞の役割は、血液を介して全身を巡り、各部位で発見したウイルスなどを攻撃、死滅させることです。
このようなことから、病原菌やウイルスを攻撃できる免疫力の高さは、腸内の有能な免疫細胞の働きと関係があると、近年の研究で解明されました。
つまり、腸管免疫力を強くさせることが、新型コロナウイルスの退治を可能にするということになります。
1-1 善玉菌増加が腸管免疫力を高める
腸内の善玉菌を増やすには、食物繊維摂取が大変、有効です。
乳酸菌のような善玉菌は、食物繊維をエサにして短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸・プロピオン酸)を生成しますが、この短鎖脂肪酸が増えると、腸内は酸性に傾いていきます。
善玉菌は酸性域の環境を好み、アルカリ性の環境に移行すると、善玉菌は減り、悪玉菌が増え始めます。
このようなことから、短鎖脂肪酸が作った環境で善玉菌はさらに増え、免疫力が高くなっていくことになります。
従って、善玉菌である乳酸菌やビフイズス菌を豊富に含む食品だけでなく、乳酸菌などのエサとなる食物繊維も同時に摂ることが、免疫力向上に有効な手段です。
1-2 人にうつさない
自分の免疫力で新型コロナウイルスを退治することは、「人にうつさない」ということにつながります。
また、「自分の免疫力を強くさせ、人にうつさない」ことが、新型コロナウイルスの拡大を阻止し、この世から新型コロナウイルスを絶滅させる効率のいい方法なのです。
【まとめ】
近将来、新型コロナウイルスを死滅させる薬ができても、底辺にいる私たちにまで行き渡るのはかなりの時間を要することになりそうです。
新薬ができるのをまっているだけでなく、新型コロナウイルスの正しい情報を取得し、同時に免疫力の高い体つくりに勤しんでいることが、いちばんの新型コロナウイルス撃退法だといえるのではないでしょうか?
(参照)
「時事メディカル:新型コロナに急性膵炎治療薬=感染阻止、臨床研究へ―東大」