キャリアデザインを明確にすることのすすめ

現在の日本では、終身雇用制度の崩壊や人生100年時代の到来により、これまで以上に仕事や人生について考える機会が増えている。どちらかといえば、将来に不安を感じる方が多いのではないだろうか。このような状況の中、これからの人生を考える上でキャリアデザインの重要性が高まってきている。今回は、キャリアデザインを明確化することの重要性、キャリアデザインの方法などについて説明していく。


キャリアデザインとは

キャリアとは、一般的には職務経歴や経験のことを指す。キャリアを積んだ結果として、職業能力は積み重ねられていくものである。一般的なキャリアは働くことだけを指しているが、本来は働くことに伴う人生の生き方も含まれる。キャリアデザインとは、会社任せでなく、自分自身が主体性を持って計画、実行していくものである。働き方だけでなく、その先にある生き方も含めたキャリアをデザインしていく。

キャリアデザインの重要性が高まった理由

これまでの日本は、終身雇用制度・年功序列制度によって、個人個人がそれほど悩むことなくキャリアを保証されていたと言える。高校や大学を卒業して企業などに就職、一定期間が経過すれば昇進して昇給も保証されていた。定年退職すれば、生活するには十分な年金を受給することもできた。学生から社会人となり、老後は年金生活をすることが一般的であったため、キャリアデザインの重要性は低かった。しかし、現在は終身雇用制度や年功序列制度の崩壊が始まり、将来の年金制度も不透明な状況である。そのため、従来の一般的な人生設計は崩れてしまった。その結果、キャリアデザインの重要性が高まってきたのである。

キャリアデザインするメリット

社会保障制度や働き方などの変化によって、人生について十分に考える必要性が高まってきている。仕事に重点を置くのか、趣味に重点を置くのか、どちらにしてもキャリアデザインすることは、必須課題と言っても過言ではない。実際にキャリアデザインするメリットはいくつもある。年齢や社会的立場ごとにキャリアデザインの考え方は様々である。

人生に対する安心感を得られる

国の財政状況悪化などから社会保障制度が不安視されている中で、今後の人生に対する不安感も高まっている。主に終身雇用制度の崩壊や今後の年金制度が不透明なことから、不安感が生まれているのであろう。キャリアデザインすることによって、今後の進む人生が明確になる。そのため、不安感が安心感に変わっていくことが期待できる。

人生の選択肢が拡がる

2019年4月に働き方改革関連法案が施行され、大企業のみならず中小企業の経営課題となった。働き方改革とは、仕事をする人がそれぞれの状況に応じた働き方を自分自身で選択できるようにするものである。これは、キャリアデザインをすることに共通する。働き方を自分自身で選択できることによって、今後の人生の選択肢はこれまで以上に大きく拡がることにつながった。人生に対する不安感があることは否定できないが、選択肢が拡がることによって今後、明るい未来につながる可能性も出てきている。

モチベーションがアップする

これまでの安定した社会制度の中であれば、受動的に働くことが少なくなかった。しかし、主体的に計画し実行していくキャリアデザインによって、能動的に働くことへ繋がっていく。そのため、モチベーションはこれまでより高まりやすい。行動は主体的で能動的になり、キャリアアップのために資格取得を目指したり勉強したりする意欲も高まってくる。企業の中で自分自身の能力を発揮することだけでなく、起業やフリーランスなどの形で自分自身の能力を発揮する可能性も大きくなる。

キャリアデザインの方法

目標を設定する

まずは、目標(ゴール)を設定することが大切になる。どのような自分になりたいのか、どのような人生を送りたいのかを考えていく。1年後・3年後・5年後・10年後・さらに先と、短い期間から長い期間まで幅広く、細かに考えていくことがポイントになる。まずは、抽象的でも無謀でも構わないので、制限なく思い浮かぶとおりにイメージしてみる。その中から、具体的、現実的に可能であるかどうかをじっくりと検討していけばよい。

自己分析をして必要課題を挙げていく

目標を設定したら、次にその目標を達成するために必要な課題を抽出していく。そのためには、自己分析が大切になる。自分の特徴、価値観などを分析して強みや弱みを見出していく。現時点での自分自身の強みやスキルなどを明確にしていくことで、必要課題も明確になってくる。自分自身の強みを活かしていくのか、弱みを補っていくのか考え方はそれぞれである。

社会の動向を分析する

社会保障制度や国の財政状況、国際情勢まで様々な動向を分析する。情報を知るだけでなく、その情報に対する意見を持つことも大切になる。問題を解決するために何が必要なのかを考える意識を持つことができる。社会の動向を理解した上で、それに対応した自分自身のキャリアデザインを考えていかなければならない。

必要課題を解決するために行動する

自分にとっての必要課題が抽出されたら、次は実際に行動に移していく。資格やスキルアップが必要であれば、そのために勉強することも必要だろう。各種専門学校やビジネススクールなどに通う、通信教育で勉強するなど必要に応じて行動する。企業の中で自分自身の力を発揮していくのか、起業やフリーランスとして力を発揮するのかを選択して行動に移していくことも必要になってくる。

キャリアデザインのための行動を振り返り修正する

ここまで説明したキャリアデザインの方法を経て、実際に行動していく。一気に先に進んでいくのではなく、目標設定をするときに区切った1年後・3年後・5年後・10年後・さらに先の期間などで、設定した目標と照らし合わせながら振り返ることが大切になる。行動を振り返り、その行動を評価していく。その結果、必要があれば行動を修正していくことも必要である。常にこの過程を繰り返していくことによって、キャリアデザインのための行動を微調整していく。行動、振り返り修正する中で、目標が変化していっても全く問題はない。はじめに設定した目標にとらわれないことも大切である。

キャリアコンサルタントに相談してみる

キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントとは、個人の適性や職業経験に応じて職業の設計をすることなどを支援する国家資格である。キャリアコンサルタントは、キャリアデザインについても支援をしてくれる。キャリアカウンセラーや産業カウンセラーなど様々な名称の資格があるが、2016年にキャリアコンサルタントの国家資格が規定された。

キャリアコンサルティングとは

キャリアコンサルタントが相談を受けて支援することを、キャリアコンサルティングと呼ぶ。キャリアコンサルティングは、働く人の職業選択、職業生活設計または職業能力の開発および向上に関する相談に対して助言や指導をすることである。キャリアコンサルタントには、今後の人生や働き方など様々なことを相談できる。

キャリアコンサルタントにはどこで会えるのか

ハローワークなどの公的機関にも常駐しており、相談することができる。また、キャリアコンサルタントは、一般企業に常駐していることもある。近くのキャリアコンサルタントを探すには、キャリアコンサルタント検索システム(キャリコンサーチ)によって検索することが可能である。 参考: https://careerconsultant.mhlw.go.jp/p/public.html

まとめ

これからは、生きていく上でキャリアデザインは重要である。なかなか自分自身で考えて行うことは難しい。そのような場合には、キャリアコンサルタントなどの専門家に相談することも効果的である。キャリアデザインをすることによって、今後の生き方、働き方が明確になって将来に対する不安感は解消されていく。主体的に考えていくことでモチベーションアップして自分自身の手で明るい人生の構築を目指してみてはいかがだろうか。

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