休憩の取り方を変えれば、仕事効率は改善できる
多くの人は休憩時間というのを、「仕事をしない非生産的な時間」として捉えているかもしれない。しかし、効果的な休憩を適切なタイミングでとることで、仕事の効率はむしろあげることができるのだ。人間の集中力と、休憩の関係を理解し、仕事に有効な休憩時間の使い方を解説していこう。
しかし、効果的な休憩を適切なタイミングでとることで、仕事の効率はむしろあげることができるのだ。人間の集中力と、休憩の関係を理解し、仕事に有効な休憩時間の使い方を解説していこう。
集中力の限界
脳は、身体と同じように使えばその分疲労していく。仕事中には脳をフルで稼働させている状態であるからこそ、使い続けると徐々に仕事のパフォーマンスは下がっていってしまう。
休憩の適切なサイクルに関しては諸説あり、個人差もあるとされているが注目したい区切りは15分と、45分〜90分だ。それぞれ詳しく解説していこう。
最大の集中力発揮は15分
これは、集中している中でも特にパフォーマンスが高い状態を維持する限界で、同時通訳の仕事などはこの15分をサイクルに交代していく方式で行なっている。
東京大学の池谷教授の研究によると、60分1セット、45分1セット、15分1セットでそれぞれ休憩を挟んで学習した際には、合計の学習時間が短いにも関わらず、15分1セットで学習したグループがもっとも定着度合いが高かったという結果が出ている。
参考: Yusuke Watanabe, Yuji Ikegaya「Effect of intermittent learning on task performance: a pilot study」2017
http://neuronet.jp/jneuronet/002.pdf
また、15分という時間には焦らし効果があるということも言われている。
人間の感覚として15分というのは集中していると短く感じることが多く、場合によってはやりかけのものを途中で切り上げることになる。この時「もう少しできたのに」という状態になることで、モチベーションが保たれ、次の15分も集中して取りかかれるというわけだ。
もっとも集中したい仕事をするときには、この15分のサイクルを意識するのが重要になりそうだ。
45分〜90分の持続時間
そこで注目したいのが、集中力が持続する限界で休憩をとるというやり方だ。
研究によれば、人間の集中力の持続は個人差もあるが、45分〜90分程度で限界を迎える。この時間に幅があるのは、45分程度で集中力が落ち始め、最終的に90分ではほぼ集中できていない状態になるということだと理解するのが良い。
もっと長時間集中できると思うかもしれないが、本人は集中しているつもりでも実際にはパフォーマンスは落ち、ほとんど集中できていない状態になっている時があるはずだ。
仕事の進捗や自分の感覚に合わせて、45〜90分に一回は休憩を挟むことを意識しよう。
適切な休憩をとるためのポイント
大休憩と小休憩
しかし、仕事と短い休憩のサイクルを繰り返していても、徐々に疲れは溜まっていくため、数時間に一度は長めの大休憩をとることをオススメする。特に昼過ぎは、午前中の疲れが溜まってきているタイミングであるほか、昼食を食べた後でもあり、眠気に襲われやすい。14時〜15時頃には30分程度の長めの休憩を取れることが理想的だ。
脳を休める重要性
やりがちなのは、新聞やwebでニュースなどを見ること。仕事にも役立ち、気分転換にもなるからとやる人が多いが、これでは脳を休めることはできない。
スマホを使うことも基本的にはよくないと考えるべきだ。
韓国の亜洲大学校と韓国行動科学研究所の研究によれば、昼休みにスマホを使っていたグループは、同僚と会話をして休憩した場合よりも、仕事後の精神的疲労の感じ方が大きかったことがわかっている。
参考: Effects of breaks on regaining vitality at work: An empirical comparison of ‘conventional’ and ‘smart phone’ breaks
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0747563215302703?via%3Dihub
休憩中は、できるだけ脳を休ませることを意識したい。
おすすめの休憩方法5つ
職場によっては、頻繁に休憩をとったり席を離れたりすることができないかもしれないが、ここでは席に座ったままでも実践できる方法も紹介する。
ぜひ、明日からの休憩に取り入れてみてほしい。
体を動かす
できるならば、オフィスの外に買い物に行ったり、近所を一回り散歩するなど、外の空気を吸うとリフレッシュしやすい。
席を離れることができない場合には、伸びをしたり、ストレッチをすることも効果的だ。特にふくらはぎなどの足を刺激すれば、血行が良くなり、全身に酸素がいきわたるようになる。
仮眠をとる
ただし、それ以上眠ると、ノンレム睡眠の状態に入ってしまい、目覚めた時の脳の活動が低下してしまう。仮眠は会社では取りづらいという人も、昼食を食べた後などであれば、眠っていても問題はないはずだ。また、眠らずに目を閉じているだけでも効果があることがわかっている。
起きる時間にアラームをセットするのを忘れず、思い切って仮眠をとってみるのはいかがだろうか。
瞑想をする
姿勢と呼吸に気をつければ簡単に行うことができ、数分間行うだけでも、集中力の工場や疲労回復に効果的であることがわかっている。
詳しいやり方については、以下の記事も参考にしてみてほしい。
瞑想中に何を考えるべきか分からない人への10のヒント
https://www.saluce.jp/wp/articles/47
音楽を聞く
とはいえ、注意したいのは好きな音楽を聞くと、歌いたくなったり、メロディーを追ってしまうため、脳を働かせることになるということ。また耳に残ってしまい、仕事を再開した際に集中できない可能性もある。
好きな音楽を聞くのは、リフレッシュとしては最適かもしれないが、休ませるという意味での効果は期待できないかもしれない。その意味では、クラシックや自然音などをかけるのもオススメだ。
人と話す
韓国人のオフィスワーカーを対象に行われた研究によれば、休憩中に会話をしたグループはリラックスできる行動をとった時と同じく、1日の仕事の終わりに感じる疲労が軽減されることが明らかになっている。
Micro‐break activities at work to recover from daily work demands
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/job.2109
一人で休憩はしにくいという場合には、同じく休憩している人を見つけて、会話を楽しんでみてはどうだろうか。
まとめ
休憩は悪というイメージはまだまだ強いが、適切なタイミングで適切な休憩をとることで、むしろ仕事が捗るのは、科学的に明らかだ。
長時間働いているのに仕事の進みが遅い、なんてことにならないためにも、休憩の取り方を変えてみるのはいかがだろうか。