筋トレは短命の原因?30代からの日常に筋肉生活のススメ
近年は筋トレブームから、ジムや自宅などで筋トレを行うことがかなり一般的になってきた。
しかし、「筋トレを行うと寿命が縮む」という噂も一部では存在する。筋トレと寿命の関係を明らかにし、健康に良い筋トレとは何かを紹介する。
近年は筋トレがブームということで、ジムや自宅などで筋トレを行うことがかなり一般的になってきた。 一方で、昔から言われてきたのは「筋トレを行うと寿命が縮む」という言説だ。
「筋トレ」と聞くと、厳しいトレーニングを行うボディビルが思い浮かび、なんとなく不健康そうというイメージがついていたりもするのだろうか? しかし、事実に基づいて判断するならば、この説を裏付けるような研究は今の所存在せず、気にしなくて良いと言えるだろう。 むしろ、筋トレは適度に正しく行うことで健康に良い影響を与えることもわかってきている。 今回は、筋トレと寿命の関係を明らかにしていこう。
そもそも筋肉と健康にはどのような関係があるのだろうか? 筋肉というと、体を動かすのに使う部位くらいの認識かもしれないが、生命維持にあたって重要な役割を担っている。 まずは身体における筋肉の役割を確認しておこう。
①身体を動かし、姿勢を保つ運動器
まずは、冒頭であげたように体を動かすこと。
これは内臓や血管を動かす平滑筋や心臓を動かす心筋のような、自分の意志とは関係なく動くものと、随意筋という、自分の意志で動かすことのできるものに分けることができる。どちらの場合にせよ、身体を動かすあらゆる場面において、筋肉が収縮することが動力になっている。 また、あらゆる場面で身体の姿勢を保つために緊張状態に置かれているのも筋肉の特徴だ。 これら運動器としての役割が、一般的にイメージされる筋肉の役割である。
②エネルギー消費と熱の発生源
あまりイメージがないかもしれないが、実は筋肉の重要な役割として、熱を生み出すことがあげられる。 恒温動物である人間は、常に体温を平熱に保つ必要があるが、そのためにはエネルギーを消費して、内部で熱を生み出す必要がある。 この熱生産においては、その6割程度を筋肉が担っているのだ。筋肉が多いと代謝がよくなるというが、それは筋肉がエネルギー消費の多くを担っていることによるのである。
③内分泌器官
一般的にホルモンをはじめとする生理活性物質の分泌は、脳を中心とした身体の中枢からの指令によって行われると考えられてきた。
しかし実は、脂肪の分解や筋肉の増強に関わる指令は、筋肉自体からも発せられることが明らかになってきている。脳を介することのない身体のシステムの重要な一旦を担っていのだ。
個体寿命と健康寿命
さて、ここまで筋肉の様々役割を見てきたが、筋トレと寿命の関係を明らかにするために、「寿命」とは何かという点にも触れておく。
寿命と言った際に、一般的に指すものは「個体寿命」のことだ。個体寿命とは生まれてから死ぬまでの期間のことをいい、世界的にみて日本が上位にランクインしていると紹介されているのも、この個体寿命を元に平均をとった平均寿命のことである。 しかし、今回注目したいのはこの個体寿命ではなく、むしろもう一つの「健康寿命」の方だ。 健康寿命とは2000年にWHO(世界保健機関)が提唱したもので「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされている。 この2種類の寿命と、筋肉との関係を見てみよう。まず冒頭で言及した「筋トレを行うと寿命が縮むという言説には、それを裏付けるような研究が今のところない」と言ったときの寿命、とは個体寿命のことだ。 一方で健康寿命に関してはどうだろうか。こちらは筋肉に大いに関係がある。健康寿命の定義で言われるような健康上の問題がない状態で生活する際、言い換えれば日常生活を制限するような健康上の問題を発生させないよう予防する、という際に重要となるのが、まさしく筋肉なのだ。 では、健康寿命と筋トレにはどんな関係があるのだろうか
健康寿命と筋トレの関係
前述で言及した健康寿命、これを阻害する一番の要因はやはり生活習慣病だ。
生活習慣病と筋肉は、すでに紹介した、筋肉がエネルギーを消費して熱を発生させることと深く関係がある。 そもそも人間の筋肉は歳を経るごとに減少していく。これはサルコペニアと呼ばれ、30代からこの現象は始まる。 エネルギーを消費するはずの筋肉が減少することで、結果的に脂肪が消費されずに蓄積されやすくなってしまい、メタボや糖尿病といった生活習慣病に繋がってしまうのだ。 また、この筋肉の現象(サルコペニア)の影響による、運動器としての機能低下にも注意したい。立ち上がること、歩くこと、走ることが徐々に辛くなり、ますます歩かなくり、結果的にさらに筋力低下につながる、という悪循環が生まれてしまう。また、筋力の低下により転倒をしやすくなることから、それに伴う負傷で寝たきりになるという事例も、高齢者には多い。 前述の平均寿命と健康寿命は、日本では約10年ほど差異がある。この差異を埋め、なるべく健康寿命を伸ばすために、筋肉が果たす役割は大きいと言えるだろう。 つまり、寿命における筋トレは、必要以上の筋肉をつける、という意識よりもむしろ、筋肉を落とさず、維持するための継続して行うことがを重要になる。
まとめ
いかがだっただろうか。今回は、筋肉の基本的な働きや、寿命と筋肉の関係を紹介してきた。
健康な日常を生活を送るために身体を支える筋肉。年とともに減少させず、健康な状態を維持するためにも、今のうちから、筋トレを生活にとりいれてみてはいかがだろうか。